法少女は間外につき。


 

 魔法少女について―――


 魔法少女というのは、世間一般から見れば魔法を操る少女のことを指す。
 魔法少女は魔法使いの家系から生まれ、どんな一般家庭で育ったにせよ、どこかで魔法使いの血を継いでいない限りなることはまずない。
 恐竜の血を引けば、鶏の卵から恐竜は生まれることもある。しかし、逆はない。鶏と鶏からは恐竜は生まれない――そう信じて、生きている。それこそ刷り込みであるというのに。

 ならば、最初の魔法少女はどう生まれたのだろうか。疑問にも思わないのだろうか。
 始まりは、身近なところにあると、どうして気づかないのだろうか。

 鶏だったものが、気まぐれに、もしくは力を望んで貫く牙を、切り裂く爪を、空飛ぶ翼を手にいれたとしたら?
 隣にいた雛は、子が、友だったものがいつの間にか知らない間にちがう『ナニカ』へと変質していたとしたら?

 そう、この世には鶏の中に鶏として生まれながら、ある日を境に恐竜になったものが混ざっているのだ。
 いざとなれば、鶏なんてものを簡単に捻り潰せるだろう恐竜が。

 とても恐ろしいことなのに、この世界はその状況をいまもずっと保っている。
 恐竜が鶏を義をもって守ってくれると、盲目なまでに信じて――

 ちがう。

 恐竜は、知っていたのだ。

 鶏は、人は弱く。
 そしてどこまでも強かで自分とはちがう、異質なものを排除したがると。
 どれだけ言を尽くしても、能力差のある化物に対して人は――どこまでも残酷になれる。

 だから少女はただただ黙って戦うのだ。誰にも知られないように。誰にも気づかれないように。
 その異質な力をおそれるがあまりに、守りたかった誰かに石を投げられまいと――


「乙女の敵は成敗ですのん☆」

 少女がふわりと宙に浮き、ヘドロのような大きな塊に白い指揮棒を振り下ろせばそこから小さな赤がシャラン、という音ともにいくつも散った。
 鋭い無数の赤の欠片は、下水のような鼻をつく悪臭を放つヘドロの塊を囲むように地面に突き刺さる。
 それは徐々に大きくなり、ヘドロの体長を覆い被さるほどまでに成長した。

「真心をたくさん込めたのん☆」

 少女が顔の前で両の指を曲げ、その親指と人差し指を引っ付けた時、同じような形の赤がばちん、と弾けた。

「たくさん召し上がれ――なのん☆」

 つんざくような閃光とヘドロの断末魔は同時。
 それが暗闇にきれいに消え去り、辺りが静寂に満たされるとその魔法少女はようやく地面に降り立――とうとしてやめた。
 人の気配があったからだ。

 一年前のバレンタインではうっかり一般人に姿を見られてしまい、内心焦っていた。
 少女は――大神砂羽(おおがみさわ)は、魔物(モンスター)を倒すのに膨張と収縮の魔法しか使えない。もしくはそれに準じたもの――何かを投入したり不純物を取り除いたりなどの、いまだに自分でも把握できない力。
 高度の魔法使いなら幻影なり記憶操作なりできるのだろうが、砂羽には無理だ。知ろうにも、やろうにも、どうすればいいかわからない。

 なのであの時、やけに美しい少年を間近に見たことで固まったのは見惚れたからではなく、見られてしまったという絶望が、恐怖が、不安が勝ったから。
 なにが美形だ。イケメンだ。皮を一枚めくればただのヒト。他の人間となにが変わろうか。目からビームでも出ようものなら対処を考えるだろうが。

 どうにかして(物理的に)消すか、丸めこませないと――

 そう思考を巡らせていれば、少年の持っていた黒いビニール袋が勢いよく弾けとんだ。あたりに転がるのはカラフルな色彩。
 ゴミ袋の中身は、可愛らしい包装紙と甘い匂いを閉じこめたもの。


 砂羽を、魔法少女に至らしめたもの。


 気づけば、なるべく使いたくない力を無意識に振るっていた。

「ひっ」

 赤い小さなハートが少年の周囲に突き刺さる。髪も数本、パラパラと落ちた。

「この姿を見られたからには始末はしないといけませんし――なにより」

 砂羽の気分がおさまらない。多少は少年に痛い目を見てもらわなければ。

「乙女の敵は――抹殺しますのん☆」

 実は少年の言動はあまり関係はなく、ただの砂羽の行き場のない八つ当たりであった。



 花さえ恥じらうほど美しい少年、赤鶴錦司(あかずきんじ)のこれまでの生涯における軌跡は、それはもう愉快に悲惨なものだった。
 普通の家に生まれ、普通の人たちに育てられた「特別」な少年は、しかし「普通」の思考を持つが故に異常さに振り回されて生きてきていた。
 いっそ途中からじぶんは「特別」なのだと自覚すればそれなりにうまく立ち回れただろうに、と砂羽は小さく嘆息をもらした。
 いつまでも「普通」であろうとするからそうなるのだ。自分はちがう、自分はお前らとは別の存在なのだと切り捨ててしまえば楽だったろうに。
 自分を守るために他者を寄せ付けなければよかったのだ。自分は「特別」だからしかたがないと。

「イケメンって想像以上に大変なのですのん☆」

 さすがにその「特別」な少年もバレンタインデーは「普通」に我慢しきれなかったのか、隠れて――ここまでくれば隠さずに処理すればいいのに。こっそりと処分をしていたようだが、それよりも自身を守るほうが先だろう。誘拐されるか監禁されるか殺される可能性だってあるのに。
 誰も来ないような路地に一人で来るものではない。さきほどの魔物(モンスター)だって、砂羽が見つけていなければ錦司に襲いかかっていただろう。リア充な気配ムンムンだから。デコイに使えたら助かりそうだ。
 しかし今現在、面倒な仕事を増やされても困るし、ここは穏便に相手の心を折るか身体を(物理的)に折るかして――とついつい嬉々として痛めつけていたら、なんだか錦司の反応がいいせいか不思議と気分が高揚してきたのでこれ以上は駄目だとさっさと眠ってもらうことにした。チョロい。このイケメンチョロい。
 念には念をいれたおかげか、一年経ったいまでも砂羽のまわりが騒がしくなることもなく。バレンタインデーにだけ現れる魔法少女の噂も聞かない。

 本当は、バレンタインデー限定でなくても砂羽は活動できる。必要以上に使わないだけだ。
 数は少なくなろうとも、バレンタインデーと同じ魔物(モンスター)は街のどこかに現れる。ホワイトデーやクリスマス、普通の日にだって稀にだが現れる。人間の浅ましい感情と、それを込められたものは一年中どこかで溢れている。その最たる日がバレンタインデーだというだけなのだ。


 終わりのない悪意に対して、新しい魔法少女が必要だったのだろう。



「やあ、お見事!」

 パチパチと、暗闇から乾いた拍手と声が送られる。
 砂羽は、路地の奥をにらみつけた。いまのいままで、存在にすら気づかなかった。あれだけ気をつけていたのにかかわらず。
 その気配にも声にも、怯えた様子は見えない。
 そのことに安堵――するわけがない。いやな予感がした。

「誰ですの」

 固い声だと、自分でも思う。
 いつものように馬鹿みたいに「ですのん☆」などとはつけない。あんなもの、相手を逆撫でするためのものだ。あれを日常的に使うわけがない。

 暗闇が晴れていく。
 相手の全貌が見えはじめる。

「やあ、はじめまして。魔法少女協会って知ってるかな? そこの理事のひとりだよ」

 月が雲から顔を出し、相手もまた路地から姿を見せる。
 そこには、ひとりの男が立っていた。予想外に若く、砂羽とそう年も違わない赤みがかった茶の髪をもつ、錦司には及ばないもののそこそこ美しい少年が。

「君みたいに協会に属していない――管理されていない魔法少女をね、ボクらは野良(のら)魔女って呼んでいるんだ」

 飄々と口元に笑みを浮かべた相手に砂羽のまなじりもきつくなる。
 だれが野良犬や野良猫と同じような呼び方で喜ぶというのだ。
 怒りとなにかが混ざり合い、空気を揺らす。
 ピシリと廃ビルの窓ガラスが砂羽を中心に蜘蛛の巣を張るようなヒビが広まっていく。
 それを見てもなお、男は「おおこわい」大仰に肩をすくめたまま、砂羽を見上げていた。

「全体の数を把握しきれないって色々と面倒でさあ。ま、それはどれだけせっつかれても手続きしてくれない人たちのせいだけど――君はまた、それとはちがうからね。なにも知らない、わからない」

 教えてくれる、先代がいない。
 ただ手探りで、進むしかない。

「よもや自分が生きてるうちに会えるとは思わなかったな。ようこそ人を越えた垣根の上へ。誰も知らない頂の向こう側へ。歓迎しようか、新たな魔法少女――始祖の魔女となる君を」

 始祖の魔法少女。

 魔法使いの原点にして血の始まり。
 人から生まれたはずの、人であった少女は――稀なる力を得て別のナニカへと変質した。望む、望まないにかかわらず。



 〈そこの娘、トクベツになりたくはないか?〉

 いつものように留守番をしていた砂羽の前に、光る鳥が舞い降りた。とても美しい、見惚れるばかりの光る鳥が。

 まだ、砂羽が小学生の頃。
 両親の仲が日に日に冷えきって、どちらも仕事や付き合いを理由に家にも滅多に帰らないようになっていた頃。
 四年生になったばかりの砂羽はまだいい。簡単に食事は作るなり買うなりで済ませられる。問題は、まだ保育園に通う幼い弟妹がいたこと。
 どちらの親にもほとほと愛想が尽きていた砂羽と違い、まだ幼い弟妹は母や父を恋しがって夜毎に泣いた。
 どれだけ側にいても「ママがいい」と「パパはどこ」と面倒を見る姉よりも親の暖かさを求めた。

 砂羽は特に目立つ子供ではなかった。
 見目も地味なほうであったし、勉強ができないわけでもできるわけでも、運動が得意なわけでもなく。
 ピアノを弾くのは好きだったが、それもいまでは時間がない。練習もできなければ、ろくに指が動かなくなる。合唱の演奏も他の子にとられた。最初は砂羽が選ばれていたのに。

 私じゃなくてもいいんだ。

 誰も私を見てくれない、気づいてくれない――

 そんな時に、その光輝く鳥は舞い降りた。
 他でもない、砂羽の前に。

 〈強く願いを持つもの。愛を求めしもの。そこの娘、トクベツになりたくはないか?〉

 その声は、直接頭のなかで響いた。心まで届いた。深く深く、奥にしまっていたものを浮かび上がらせるほどに。

 トクベツになったら、私も誰かに見てもらえるかな。ほめてもらえるかな。母も父も、元に戻ってくれるかな。
 きっと、この鳥はカミサマなんだ。私の願いを叶えてくれるためにきてくれたんだ。

 砂羽は、差し出されるままに、掴んだ。

「トクベツになりたい」

 それが、なにを引き換えにするかも知らずに。




 魔法の使い方なんて、わからなかった。
 どうやって出せばいいの。どうやって戻せばいいの。

 年に一度、抑えきれない感情とその結果生まれた廃棄物が混ざりあった悪臭を放つナニカへと対峙する。それがトクベツになる対価――

 最初は見よう見まねだった。テレビで公に活動する魔法少女の動きを観察し、どうにか魔法を出せるようにはなった。
 負けることも多かった。けれどそれが自分の役目だからと、顔を上げた。上げ続けた。何度も何度も戦えばなにがいけないのか、なにが必要なのかもわかってきた。コツをつかめば、どうにか様になってくる。

 それから、三度目になるバレンタインデーに珍しく母が家に帰ってきていた日。
 その頃には弟妹も両親があてにはならないとわかりはじめていたが、母は当然のように子から無条件に好かれているのだと思っているようだった。砂羽は呆れてなにも言わずにいた。
 その日の夕飯は外食で――帰りに、例の魔物(モンスター)に出くわした。
 砂羽はいつものようにその場で変身して――倒した。弟妹にはすでに知られていることであったし、悪を倒すのは使命であり役目だったから。
 正義の味方――誰もが一度は憧れる「特別」な存在。

 しかし、母の目にはそうは映らなかった。

 恐怖に顔を引きつらせ、いやがる弟妹を無理やりに引き離し、胸に抱きしめて砂羽に放った言葉は。


『バケモノを生んだおぼえはないわ!』


 この国において、世間では魔法使いと、一般人の意識下の差別化は特にないとは言われているものの。根本では弱者である一般人の一部が、どこか「魔法」という力を異端のものとしておそれている部分があった。砂羽の母は、その中でも特に顕著な部類だった。魔法使いはバケモノだと、人ではないと、そう信じるほどには。

 魔法使いの家系から、魔法少女は生まれる。
 逆はない――わけではなく。むしろ、魔法少女は、最初の始祖はそこからはじまるのだ。
 砂羽は、始まりの魔法少女。新たな魔法使いの家系の祖となる人物。
 人から生まれ、後に魔女となる。それだけのことなのに――母は砂羽をバケモノと拒絶した。弟妹を連れて離縁し、なにも知らない父に砂羽を押しつけた。

『私は、バケモノですの?』

 あの、醜悪な魔物(モンスター)と同じだというのか。

 父はまだ、魔法に対しても砂羽に対しても理解はあった。仕事が忙しく家には帰ってくることはそうなかったが、母のように拒絶することはなかった。
 しかし他に誰にも言えなくなった。教えなくなった。もし、それで。バレてしまった時に。

『バケモノ!』

 あの時の母のように、憎悪に満ちた目で見られたら。

 私はきっと、戦えなくなる。



「……私は始祖になるつもりはありませんの」

「君が魔法少女を辞して、結婚して子を成せば否応なしにそうなるよ」

「ありえませんの」

 いらない。そんなものは。

 砂羽は死ぬまで「普通」を演じ続ける。

 切り捨てるように言えば、男は「やれやれ」とあごに手を当てて考え込むようにしていたが、そうここへは長くはいられなかったのかそもそも勧誘でさえ片手間だったのか。
 パチン、と指を鳴らせばいつの間にやらおかしなほどに静寂だった空気が弾け、気にもしていなかった遠くの街の喧騒が聞こえてくる。いつだ。いつそんなものを――

 これが魔法だ。砂羽にはかけたことさえわからなかった――鳥肌がたつ。きっとこの男は強い。倒せない。人ではないもの。魔法使い。

「まあ、今日のところはこれで。本部にもまだ黙っといてあげよう」

「………」

 まだ黙っておく――それは、いつかはポロっと言ってしまうかもしれないという脅しにしか聞こえない。
 元の闇に溶けるように消えかけた男は、最後に砂羽へ妖艶な笑みを浮かべながら言葉を残した。

「ま、一人くらい味方を作っといたほうがいいんじゃないかなあってアドバイスはしとくよ。じゃあね、名も無き野良さん」






 力もなく、地面へと降りる。帽子が転がるが、拾うために屈むのも億劫でそのままに唇を噛みしめて胸の上を握りしめた。

 圧倒的な力。
 抗えない力。
 人とは違う――力。

 あれが魔法使いというのなら。あれが砂羽と同じだというのなら。

 きっと、私は――

 考えを止めて顔を上げる。足音、気配。それは先ほど感じたものと同じ。
 いなくなったのではなかったのかと、いやに冷静に判断すると即座に利き手へ白い指揮棒を生じさせて振りおろした。
 赤い欠片は点々と地面に壁に突き刺さっていき――止まる。

「……なんでいますの、あなた」

 目を丸くして、それを見る。
 世にも不思議で憐れで、瞬きひとつでノーマルな性癖の男盛りを簡単に撃ち落としてしまいかねないほどの美貌の少年は、砂羽の帽子を拾い上げようとした形のままの姿で縫いつけられていた。

「まさか」

 一年前、場所は違うがこの傾国の美少年はチョコレートを処分しようとしていた。あれだけ脅したのにもかかわらず再犯しようだなんて――宦官にするしかない。

「シタをちょんぎりますのん☆」

「ニュアンスがちがう気がする!」

 よくお分かりで。

「いや、今年のバレンタインはっ事前に周知して受け取ってないんだ!」

「乙女の純情をはねのけたんですの? 私刑ですのん☆」

「ニュアンスがちがう気がする!」

 よくお分かりで。

 打てば響くような返事に砂羽は知らずに微笑んだ。こうやって人と話すことは久しぶりだった。
 母にバレてからは友人とも距離を置きはじめたから。もし、魔法少女と知れて母と同じ言葉を言われたら――とそこまで考えてハタと思考を止めた。
 目の前の人物は、どうなのか。
 あれだけあの時に恐怖を根づかせたのにかかわらずのうのうと。そう、砂羽が危険な魔法少女だというのにこんなに近づいてくるなんて。
 眉をひそめた砂羽に、錦司は真剣な顔をして言う。それすらも美しく、目をそらせない。

「ずっと探してたんだ、君を」

 それだけを聞くならば、普通の少女ならば頬を染めて勘違いをするのだろうが――砂羽は「特別」になったせいで思考がひねくれている。

 ……もしやあの時の衝撃でドMになった、とかではなかろうな。

 そんな考えが脳裏に浮かんだが、まさかと横に振る。さすがにそれはない。作り笑顔を顔に浮かべ、首を傾げた。

「踏んでほしいんですの?」

「よろこんで!」

「気持ち悪いですのん☆」

 踏んだ。どことはいわず。

「ふざけてないで本当のことを言いますのん☆」

 悶絶する錦司に冷めた目を向ける。漫才をしに来たわけではないしする気もないのだ。
 この一年、バラすことをしなかったようにどこか遠くへ、見えない場所にいてほしい。思い出したくない。楽しかった頃を忘れていたのだから、このまま忘れさせてほしい。

 私は魔法少女。
 彼はただの人。

 生き方が違うのだから。

 なのに、彼は。錦司はこう口を開いた。

「俺の、友達になってくれないか。その、変身していない時も」

「……なにを言ってますの」

 魔法少女(バケモノ)相手に、なにを。なにを言っているのか。

「私は、魔法少女ですの。場合によっては人を傷つけますの」

 望む、望まないにかかわらず。

「俺だってそうだ。場合によっては人を傷つけるし傷つけられてきた。一緒だろ」

 それは、綺麗事だ。知らないから言えるのだ。

 私のことを、なにも知らないくせに――

「……後悔しますの」

 ああでも、なぜか。その綺麗事に心引かれてしまうのは、どうしてだろう。その手をとってしまいたくなるのは。


『ま、一人くらい味方を作っといたほうがいいんじゃないかなあってアドバイスはしとくよ。じゃあね、名も無き野良さん』


 拘束を解くのは一瞬だ。手を振るだけで赤い欠片はふわりと空気に溶ける。最初から、なにもなかったかのように。
 勢い、地面に尻餅をつく錦司のあごを指先で持ち上げてその目を覗きこむ。惚れ惚れするほどに美しい双眸。それに映る自分の姿を見て、砂羽は微笑んだ。

「私、友達よりも裏切らない従順な犬が欲しいんですの」







 ドMに開花した少年にドSな魔法少女が心を開くのには――あともう少し、時間が必要だったそうな。

 

 


 

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